【書評】バッタを倒しに来たのにバッタがいないだと!?『バッタを倒しにアフリカへ』

バッタを倒しにアフリカへ

前野ウルド浩太郎さんの『バッタを倒しにアフリカへ』を読みました。

著者の貴重な体験に基づいて書かれた実話で、とっても面白かったです。

昆虫学者を目指す著者の前野氏が、日本での室内研究に見切りをつけ、アフリカでのフィールドワークに活路を見出します。

現在の日本では、バッタによって農作物が食い荒らされるような被害は、まったくと言っていいほど起こりません。一方、アフリカでは、数年おきにサバクトビバッタが大量発生しています。

サバクトビバッタは群れを作ります。その群れは数十キロ、ときには数百キロも続く大群となり、空を埋め尽くします。農作物はもちろんのこと、草や木の葉まで、文字通り、地上のあらゆる緑を食い尽くします。

そんな恐ろしいサバクトビバッタですが、その生体は多くの謎に包まれています。前野氏はそんなサバクトビバッタを研究して、立派な論文を書いて、バッタ問題を解決してやる!と意気込んでアフリカのモーリタニア国へ飛び立たちます。

ところがやる気に満ち溢れた前野氏を待っていたのはサバクトビバッタではなく、モーリタニア建国以来の大旱魃。草木が育たないので、当然バッタはいない。

成果が上げられないのであっという間に無収入に。貯金はもってあと一年。

若い博士が遠いアフリカの大地でバッタと大人の事情を相手に繰り広げる波乱万丈の日々を綴った一冊です。