民主主義の3要件

民主主義の3要件を考えてみました。

1. 自由で公正な選挙

民主主義には、まず、自由な競争が認められた公正な選挙が必要です。これは民主主義のはじまりとなる制度であり、民主主義を継続するために欠かせない制度です。

ポイントは、「自由な競争」と「公正性」です。

参政権を幅広く認め、多様な立候補者が国民の支持を得るために公平に競うことが必要です。独裁者や一党独裁のための「見せかけの選挙」は自由で公正な選挙とは言えません。

そして、選挙は数年単位を目安として定期的に開催されなければなりません。選挙を伴わない長期政権の弊害は、国民のチェック機能が働かないことです。政権運営に誤りがあっても、選挙が開催されなければそれを正すことはできません。

どんなに優秀な人でも、どんなに素晴らしい政党でも、長期間権力の座にあると、誤った方向へと変質してしまうことは往々にしてあることです。これは歴史を見れば明らかです。長期政権を可能にする法改正は、やがて、選挙制度の形骸化へと繋がる可能性があるので、特に注意が必要です。

2. 三権分立

民主主義の2つ目の要件は、法の支配を絶対原則とした三権分立です。

三権とは、立法権(国会)、行政権(政府)、司法権(裁判所)の3つの権力機関です。こらら3つの機関は国家運営の基礎となる仕組みであり、同時に、それぞれが絶大な力を持ちます。権力が誤った使われ方をすると、国とそこに暮らす国民に大きな不幸をもたらします。

そこで、権力の私物化や暴走を防ぐために、法の支配により権力をコントロールすることが必要になります。そのため、多少不合理な面や非効率な面があったとしても、法の支配は絶対原則としなければなりません。時の政権の判断で法の支配を歪めることは、やがては権力の私物化・暴走のリスクを高めます。

独裁国家や一党独裁政権では、独裁者や党が立法権や司法権を私物化できてしまうため、法の支配が機能不全に陥り、三権分立が成り立たない危険性が非常に高くなります。

3. 言論の自由

最後に、言論の自由に担保されたメディア等によるチェック機能は、民主主義にとって欠かすことのできない仕組みです。

メディア等とは、新聞・テレビ・雑誌はもちろん、学者や市民団体、そして、国民一人一人のことです。多様な側面から、選挙運営や三権の活動をチェックすることで、誤りを正すことができます。

そして、これらのチェック機能を果たすためには、言論の自由が必要不可欠な権利となります。

独裁国家や一党独裁政権は、言論の自由を制限することで成り立ちます。言論の自由を制限することは、最初は小さな一歩であっても、やがては独裁国家や一党独裁政権に向かうリスクを孕んでいます。

ときに行き過ぎた言論は制限をかけた方がいいと思われることもあります。しかし、言論の自由を制限することの危険性を常に考慮し、言論の自由に制限をかけるのは主に弱者に対する行き過ぎた言論のみとし、言論の自由の制限は最低限であるべきです。