【書評】江戸時代に人が住まない不気味な島に漂着した男たちの物語『漂流』

漂流

吉村昭の『漂流』を読みました。

面白かったです。

江戸時代に漂流し、無人島で何年も暮らした土佐の船乗り、長平(ちょうへい)の史実に基づく物語です。

文明の無い無人島生活の過酷さ、孤独、そして、そんな中でも生き抜くための人間の知恵と心の強さが描かれています。

あらすじ

江戸時代。幕府が鎖国を続けていたため日本の船舶は沿岸を航海する能力はあっても、遠洋を航海するための能力や技術を持たなかった。

そのため、海が荒れて船が流されると、船員は嵐が止むのをタダ祈るしかなかった。

多くの船がシケに会い、遠く沖に流され、転覆し、沈没した。

運良く転覆を免れても、潮に流さるまま海原を漂流し、やがては同じ運命を辿るだけであった。

天明5年(1975年)、土佐の船乗り長平は藩の蔵米を載せて赤岡村を出帆した。航海の途中で嵐に会い、3人の男たちとともに海を漂流し、人が住まない不気味な島に漂着する。

そこは絶壁に囲まれ、穀物は育たず、水も湧かない火山島だった。

男たちは絶壁の火山島で生き抜くことができるのか?島を抜け出し、再び故国の地を踏む日は訪れるのか?

土佐の船乗り長平の漂流生活を描いた史実に基づく物語。